イラレでイラストのススメ20-制約があったときの対処法あれこれ-
こんにちは、トウゴです。今回はイラレでイラストなどを描く際に使ってはいけない効果がある、などの制約があったときの対処法を紹介していきます。
制約の色々
基本的に個人の制作で制約がある場合というのはあまりないものですが、仕事で制作する場合は色々と条件や制約が出てきます。
(条件や制約が出る理由は別のデータにした時にエラーが出てしまう、など色々あります)
今まで私が出会ったものとしては、
- クリッピングマスク不可
- グラデーション不可
- 透過効果不可
- ブラシ不可
- パターン不可
- ぼかしなどの効果不可
などがあります。
この中の1つだけであればまだいいのですが、場合によっては制約が複数の時もあるので、これらを守りつつ同じクオリティにするには対処法を知っておくと楽だし早く作業が出来ます。(究極でひたすら描いて…というのもありますが、描くものによっては時間が掛かりすぎるので止めた方がいいです)
ここから上で挙げた今まで出会った制約の対処法を解説していきます。
【※注意※】
仕事で上記のような制約があった場合、何より先に担当の方に連絡をしてどう対処するべきかを確認してください。
対処法を教えてくれたり、参考になるデータを頂けると思います。
解説していく内容は実際私がやっているやり方ですが、最終的にどういうものになるかによって解説している方法では適さない場合もあるので、とにかくまず確認してください。
クリッピングマスク不可
この場合はパスファインダーを使って対処します。

パスファインダーにも色々種類がありますが、私は「切り抜き」「前面オブジェクトで型抜き」「分割」を使うことが多いです。
(赤丸の3つ)
「切り抜き」(画像右下の赤丸)
最前面に置いたオブジェクトで背面のオブジェクトを切り抜くツールです。
ベースのオブジェクトと同じ形で切り抜きたい時に便利です。
「分割」(画像左下の赤丸)
選択したオブジェクトを重なりごとに分割するツールです。
この場合オブジェクトは分割され元とは違う形になるので、修正がまだある場合などは若干注意が必要です。
「前面オブジェクトで型抜き」(画像左上の赤丸)
前面にあるオブジェクトで背面のオブジェクトを型抜きします。
中抜きのオブジェクトを作りたい時などに使います。
「切り抜き」「分割」はやり方によっては不要なアンカーポイントが出てきてしまいます。
そのため以下の点に注意してやると不要なポイントを増やさずに切り抜きや分割が出来ます。
ベースのオブジェクトより大きめに切り抜いたりするオブジェクトを描く
ベースのオブジェクトにギリギリで切り抜きたいオブジェクトを描くと、不要なアンカーポイントが出てくる場合が多いです。(綺麗にベースのオブジェクトに沿って描けていれば良いのですが、なかなか難しいと思います)なのでベースのオブジェクトより少し大きめに描いてから切り抜いた方が不要なアンカーポイントを増やさず切り抜けます。
特に気を付けた方が良いのが既に切り抜いた部分をまた同じベースで切り抜く時です。
画像A部分を少し修正してはみ出た部分をベースのオブジェクトでまた切り抜きたいとき、画像のような状態のまま切り抜くと不要なアンカーポイントが出来てしまいます。
このアンカーポイントを消して整えて…とするのは少し手間になります。
なのでベースのオブジェクトと重なっているところも動かし、ベースより大きめにしてから同じように切り抜けば不要なアンカーポイントを増やさず切り抜くことが出来ます。
ポイントを同じ位置にしておく
先端が尖っていたり、近い位置にベースのパスのポイントがある場合には、なるべくポイントを同じ位置にした方がいいです。
そうすると切り抜きや分割をしたときに余分なアンカーポイントが出なくて済みます。
イラレの環境設定によってはポイントがある位置にカーソルを持っていくと強調されて表示してくれますし、もしどこの位置にあるかわからない場合は一度近くにポイントを打ちながら描いていき、その後ダイレクト選択ツールで描いたポイントを重ねたいポイントまで動かせば大丈夫です。
ここまでしなくてもいい場合がほとんどですが、ポイントの数に制限がある場合もなくはないので、普段からやっておくとそういう条件があった場合でも対処がしやすいです。
また、分割でオブジェクトを分割した時はものすごく細いのですが隙間が出来てしまう時があります。

本当に細い隙間なので、そのままでも問題ない場合が多いですが、気になる場合は下になっているオブジェクトのポイントを少し動かして、隙間を隠すと気にならなくなります。



グラデーション不可
この場合はブレンドツールでやることが多いです。
ブレンドツールはオブジェクトとオブジェクトの中間の色や形などを作ることが出来るツールで、設定すれば好きな数で作ることが出来ます。
グラデーションぽく見せるだけではなく、同じ形のものを選択した範囲内で指定の数均一の間隔で並べたり、それぞれ別の形のパス間で、形を少しずつ変化させながら均一の間隔で並べたものを作ったり出来ます。
ブレンドツールには「スムーズカラー」と「ステップ数」と「距離」という設定がありますが、「ステップ数」を使うことが多いです。
ステップ数はベースのオブジェクトからオブジェクトへ行く間の数を決めて生成出来るもので、指定した数が大きいほど細かく変化し、小さいと大雑把な変化になります。
この機能を使ってグラデーションのように見せる方法です。
ブレンドは拡張することができ、拡張すると単純なパスを並べたような状態になります。
なのでブレンドを使わず同じ形のパスを並べて自分で色を調整してやればグラデーションが出来るのですが、色の調整が大変なのでブレンドでやった方が早いです。
グラデーションだけでなく色々と使えるので、ブレンドの設定方法ややり方は覚えておくと便利です。
透過効果不可
乗算やスクリーン、オーバーレイなどの透過効果全般が使えない時ですね。
これは単純に色を調整していきましょう。
この記事に影色の調整のポイントが紹介されています。
HSBという「色相、彩度、明度」で色を調整するスケールがあります。


これを使うと彩度と明度はそのままで色相を赤から青にすることや、色相、彩度はそのままで明度だけ上げ下げすることがRGBやCMYKなどに比べて簡単に出来ます。
また、どうしても上手く色の調整が出来ない時私は一度透過効果を使った状態で描いて、それをスクショしてから別レイヤーなどに貼り付け、該当の色をスポイトで吸ってデータを調整します。
(別レイヤーでなくても大丈夫です)
ただどうしても透過効果を使わなければ表現出来ない場合もありますので、そういった箇所が出たときは(聞ける人がいる場合)確認をした方が早いです。
(仕事の場合、対処法があったり仕様書などに書いてあったりします)
ブラシ不可
ブラシで描いたままの状態だとダメだという場合が多いので、その場合はアウトライン化をしておけばほぼ大丈夫だと思います。
アウトライン化するとブラシによってはポイントがたくさんになったり、不要なポイントがある場合もありますので、不要なポイントの削除などをしておくと尚良いと思います。
また、ブラシをアウトライン化してしまってからその箇所に修正が入るとちょっと面倒なので、FIXするまでブラシ状態で良い場合はなるべくそのままの方が良いです。
パターン不可
もしパターンが既にある場合はスウォッチからアートボードにドラッグ&ドロップします。
そうすると元の状態のパターンが出てくるので、パターンと同じように並べて重なった部分は削除などをして調整し、使いたい部分に移動させてクリッピングマスクをしたり、切り抜きをしたりすると同じような見た目になります。
もし出来るなら同じモチーフはシンボル化してしまった方がデータが軽くなりますが、慣れていなければやらなくても大丈夫だと思います。
パターンがない場合はモチーフを同じように並べていきますが、以前書いたパターンの作り方の記事のように、ガイドとなる四角にモチーフを配置してから、四角ごとコピペして四角の角同士を合わせて並べていくと綺麗に出来ます。
重なったモチーフは削除し、必要な分並べ終わったらガイドの四角を全て削除してクリッピングマスクをしたり切り抜きなどをしたりして整えます。
(そのためガイドの四角はモチーフなどに使われていない色にしておくと、後でまとめて選択出来て削除が楽になります)
ぼかしなどの効果
イラレの上部にある「効果」から設定できるもの全般ですね。

画像赤丸の「Illustrator効果」のものは、大体は最終的にアピアランスの分割などをすれば使うことが出来たので、それだけ忘れないようにして使っていました。
ただ「スタイライズ」の中のドロップシャドウ・ぼかし・光彩はアピアランスの分割をしても使用してはいけない時が多かったので、グラデーションなどを使って似た感じに表現していました。
(グラデーションが使えない場合はブレンドで)
画像青丸の「Photoshop効果」は使用してはいけないことが多かったので、使用出来る方法でどうにか同じ感じに表現していました。
- ぼかす系のものはグラデーションやブレンド
- テクスチャを表現したい場合は似たようなパターンを作るのと透過効果で似た感じに(パターンが使えない場合は作ったオブジェクトを並べて、透過効果が使えない場合は色を調整して)
- オブジェクトの輪郭をギザギザにしたいなどの場合はそのようにパスを描いて
上記の方法で対応することがありました。
制約があるデータではこの「Photoshop効果」に該当するものは使えないことが結構多いので、使えるのを前提にしない方がいいかもしれないです。
(私は幸いほとんどこの効果たちを使ったことがなかったので、対応するのが楽でした)
終わりに
制約がある場合でも他の方法で対応が出来るので、色々試して自分に合った方法を見つけてください。
そしてまず最初に(聞くことが出来るなら)どう対応すればいいのか確認をしてから制作をしましょう。
最後までご覧くださりありがとうございました。
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